亀頭やその周辺が赤く炎症を起こして痛痒いということはないでしょうか。その症状は、亀頭包皮炎の可能性があります。
軽い亀頭包皮炎であれば塗り薬や、それに合わせて抗生物質を服用することで短期的に改善が期待できますが、慢性化している場合は、何度治療を試みてもすぐに再発してしまいます。
その様な場合には、包茎手術をすることでかなり改善が期待できます。本記事では、亀頭包皮炎の原因から症状、治療方法までを詳しく解説します。
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亀頭包皮炎は、男性器の先端部分、特に亀頭とその周囲を覆う包皮に炎症が生じる病気です。この炎症は、赤みや腫れ、膿、かゆみなどの症状を引き起こし、日常生活においても大きな不快感をもたらします。
亀頭とその周囲が赤く腫れていて痛痒いといった場合、亀頭包皮炎の可能性が高いと考えられます。放置してしまうと、症状が悪化する恐れがあるため、早めの受診が必要になります。
最初は痛痒い程度ですが、症状が悪化していくと皮を剥いた瞬間に炎症箇所に亀裂が入るようになり、強い痛みが生じるようになります。
この状態になると、体を洗う際にも強い痛みが生じるようになるので清潔な状態を維持するのが難しくなり、さらに悪化してしまいます。
亀頭包皮炎の発症にはさまざまな原因が考えられます。以下に主な原因を解説します。
過度な摩擦や洗浄が皮膚を刺激し、亀頭包皮炎を引き起こすことがあります。例えば、強くこすったり、刺激の強い石鹸を使用したりすることが亀頭包皮炎の原因となることがあります。
包皮は垢が溜まりやすく、細菌が繁殖しやすい環境となっています。私たちが元々持っている常在菌、例えば大腸菌や黄色ブドウ球菌が過度に繁殖することで、亀頭包皮炎が引き起こされることがあります。
また、性行為を通じて感染する淋菌やクラミジアなどの細菌も亀頭包皮炎の原因となることがあります。
カンジダという真菌が原因で亀頭包皮炎になることもあります。白色や黄色のカスが性器に溜まることや、強い痒みが伴うことがカンジダの特徴です。
これらの症状が強い場合には、カンジダを疑ってみても良いでしょう。
使用している洗剤や石鹸、コンドームなどに含まれる物質に対するアレルギー反応が、亀頭包皮炎の原因となることも考えられます。
ここまで紹介してきた原因が合わさって包皮炎となっていることもあり、正確な診断の為には、専門医による診察が不可欠です。
特に症状が続く場合や、自己判断での治療が効果を示さない場合は、早めに医師の診察を受けることをおすすめします。
亀頭包皮炎は、特定の条件や生活習慣を持つ人々にとって、発症しやすいとされています。以下に、亀頭包皮炎が起こりやすいケースを紹介します。
亀頭包皮炎は、包茎の人の病気と言って良いほど、包茎の人がなりやすい病気です。
包茎の場合、亀頭の露出が難しく清潔な状態を保つのが難しい状態となります。包皮の内側は菌類の繁殖に適した状態となっており、清潔な状態を保っていないと、常在菌のバランスが崩れて、特定の菌類が過剰に増殖することがあります。これにより、通常よりも亀頭包皮炎が起きる可能性が高くなります。
また、包茎の場合、尿やその他の分泌物が包皮の内側に残りやすく、それらの分泌物が菌類の増殖を助ける要因となります。包茎の場合には、包茎手術をすることで亀頭包皮炎の改善が期待できます。
糖尿病の方は、亀頭包皮炎になりやすいです。実際、慢性的な亀頭包皮炎で悩んでいる方が、本人も無自覚な糖尿病だったというケースが珍しくはありません。
糖尿病になると、高血糖状態により尿に糖が排出されるようになります。その糖を含んだ尿が尿道口周辺や包皮、亀頭に付着することで、周辺の菌類の増殖を助けてしまいます。糖尿病は、免疫低下を引き起こす病気でもありますから、菌類に対しての免疫も低下し、非常に亀頭包皮炎が起きやすい状態となります。
また、糖尿病になると血中の糖度が上がり、濃度の高い砂糖水のように血がドロドロとして細い血管の血流を滞らせてしまいます。その結果、傷が治りにくいといった症状が出てくる為、亀頭包皮炎も治りにくい状態になってしまいます。
体の免疫機能が低下していると、細菌や真菌の感染に対する抵抗力が弱くなるので、亀頭包皮炎を発症する可能性が高くなってしまいます。
疲労やストレス、不規則な生活習慣、特定の疾患などが免疫機能の低下を招くことがあります。免疫系の低下が原因で亀頭包皮炎が起きている場合、免疫機能を改善させるまでは何度でも再発を繰り返すことがあります。
アトピー性皮膚炎を持つ人は、皮膚のバリア機能が低下しているため、外部からの刺激や細菌の侵入に対して脆弱です。
そのため、亀頭包皮炎を引き起こす可能性が高くなってしまいます。
性器を清潔に保つことは大切ですが、過度な洗浄や強い摩擦は皮膚を刺激し、亀頭包皮炎を引き起こす原因となります。
また過度な洗浄は皮膚を刺激するだけでなく、必要な常在菌なども洗い流してしまいます。その結果、菌同士のバランスが崩れて、亀頭包皮炎となってしまうことがあります。
複数のパートナーとの性行為や、保護具を使用しない性行為を行うことは、性感染症のリスクを高めてしまいます。
亀頭包皮炎の原因の一つであるカンジダ菌は男性の体にも存在しますが、基本的には膣カンジダに感染している女性との接触で感染することが多いです。
亀頭包皮炎が発症すると、特有の症状が現れます。以下に、主な症状を詳しく解説します。
最も一般的な症状として、亀頭や包皮が赤く腫れ上がることが挙げられます。これは亀頭包皮炎の直接的な現れであり、多くの患者さんがこの症状を通じて亀頭包皮炎を疑います。
痒みは亀頭包皮炎の非常に不快な症状の一つで、日常生活においても大きなストレスとなります。特に、カンジダなどの真菌が原因の場合、強い痒みが伴うことが多いです。
性器は非常に敏感な部位である為、痛みを感じることがあります。排尿時や性行為時に痛みがある場合には要注意です。
亀頭包皮炎が進行すると、膿や異常な分泌物が現れることがあります。細菌感染が原因の場合、黄色みがかった膿が出ることが特徴的です。
亀頭包皮炎を何度も繰り返すと、包皮が固くなり後天的に真性包茎化することがあります。真性包茎化すると亀頭周辺の洗浄が難しい状態になるので、症状は悪化し、腫れ、痒み、痛みによって日常生活に大きなストレスを受けるようになります。
『症例写真①』は、繰り返す亀頭包皮炎で後天的に真性包茎となってしまった方の画像です。この状態になると、洗浄が難しいですし、薬を塗ることも非常に難しいので、状態は悪化していく一方であり、包茎手術の検討が必要になってきます。
『症例写真②』は、包茎手術後の画像です。硬くなった包皮を切り取り、亀頭が露出した状態になりました。亀頭が露出した状態になると、洗浄がしやすくなりますし、蒸れにくくなるので菌の増殖が抑えられ、亀頭包皮炎の再発防止になります。
亀頭包皮炎の症状が現れた場合、正確な診断のためには専門医の診察が必要です。以下に、主な検査方法と診断の流れを詳しく解説します。
まず、医師は患者の症状や生活習慣、性行為の有無などの情報を聞き取ります。これにより、症状の原因や進行度を把握することができます。
亀頭や包皮の状態を確認します。赤み、腫れ、膿の有無などから特徴を見ます。
炎症の原因となる菌を特定するために、皮膚や粘膜表面を綿棒で擦り取り、培養します。1種類だけでなく、複数の細菌や真菌が検出されることもあります。
検出された細菌が薬に対して耐性を持っているかどうかを調べるための検査です。これにより、最も効果的な治療法を選択することができます。
必要に応じて、血液検査や尿検査などの追加的な検査を行うこともあります。糖尿病や性感染症など、他の疾患の有無を確認することができます。
この検査から、糖尿病が発覚することもあります。
亀頭包皮炎の治療は、症状の原因や進行度に応じて異なります。
細菌感染が原因の場合、抗生物質を用いた治療が行われます。内服薬や塗り薬として処方され、感染を抑えることで症状の改善を目指します。
真菌感染、特にカンジダが原因の場合、抗真菌薬を用いた治療が選択されます。塗り薬やシャンプー、内服薬などが用いられます。
炎症を鎮静化するために、ステロイド薬の塗り薬が処方されることがあります。
過度な洗浄や摩擦が原因の場合、生活習慣の見直しが必要です。優しく洗う、石鹸の使用を控えるなどのケアが推奨されます。
重度の亀頭包皮炎や、再発を繰り返す場合、包茎手術を検討することがあります。手術により、清潔を保ちやすくなり、再発のリスクを減することができます。
基本的に、亀頭包皮炎は処方された薬をきちんと塗っていれば、1週間程度で改善が期待できます。しかし、中々改善しないケースがあります。
その原因を解説していきます。
ここまで読んでいただけたら分かる通り、亀頭包皮炎は様々な理由や、菌の影響で発症します。そのため、必要になる薬も状況に合わせて異なります。
例えば、細菌による亀頭包皮炎に対して、真菌に効果が期待できる薬を使うと、菌同士のバランスが崩れて一気に悪化することがあります。逆もまた然りです。
さらに何種類もの菌が原因となって亀頭包皮炎が起きていることもあり、そういった場合には、一朝一夕にとはいきません。医師と協力して適切な治療が必要になってきます。
何度も再発を繰り返す場合には、亀頭包皮炎の原因が別にあるかもしれません。例えば、糖尿病などです。先ほども書いた通り、糖尿病になると様々な理由から、亀頭包皮炎が起きやすくなり、治療に入らなければ、何度でも再発する状態になってしまいます。
その他にはHIVです。HIVはHIVウィルスによって免疫が下がっていく病気であり、免疫の低下によって亀頭包皮炎が起きやすい状態となります。糖尿病同様に治療に入らなければ、亀頭包皮炎の再発の原因になります。
亀頭包皮炎の治療を受けても中々改善されない場合や、何度も再発を繰り返す場合には、別の病気が隠れていることを考えても良いかもしれません。実際に、亀頭包皮炎から別の病気が見つかることもあります。
使用しているコンドームの素材や、衣類の洗濯に使っている洗剤、ボディーソープの成分などが原因で皮膚を荒らし、そこから菌類が侵入して亀頭包皮炎の原因となっている可能性があります。これらの場合も、根本的な原因が解決されていない為、原因を取り除くまでは再発し続ける可能性が高いです。
突然、亀頭包皮炎になるようになって治らない場合には、いつもと違うコンドームを使用するようになったか、洗剤を変えたかなど考えてみてください。
また患部の洗いすぎが原因で再発を繰り返すことがあります。過剰に洗うことで、菌同志のバランスが崩れて悪化することもありますし、洗いすぎによって皮膚が荒れたり、微細な傷が増えることで皮膚のバリア機能が壊れて亀頭包皮炎が再発を繰り返すことがあります。
亀頭包皮炎の予防や再発を避けるための方法として、包茎手術が考慮されることがあります。
菌類は、湿度の高い場所で繁殖しやすい傾向にあり、包茎手術により、亀頭が露出した状態になると、亀頭周辺が蒸れにくくなるので、菌類の繁殖が抑えられ、亀頭包皮炎に罹りにくくなります。
同様の理由で子宮頸がんの原因の一つである、ヒトパピローマウィルスの繁殖も抑えることができるので、包茎手術は亀頭包皮炎の予防だけでなく、パートナーを癌から守ることにも繋がります。
包茎手術による亀頭包皮炎の予防効果は高く、慢性化した亀頭包皮炎でも改善が期待できます。下記に、慢性化した亀頭包皮炎の体験談を紹介します。
20代中盤から亀頭周辺に強い痒みが出るようになり、徐々に症状が悪化していって、自分で皮を剥いたり、勃起して自然と皮が剥けた瞬間に亀頭の下(カリ首)辺りがビリッと裂けるようになりました。
敏感な場所なので、勿論、激痛で症状の悪化に伴い非常に簡単に裂けるようになってしまいました。トイレや体を洗う時など、少し皮を剥いて亀頭を露出しようとするとピリッと裂けてしまうのです。そのような状態なので、性行為も一切できないですし、日常生活においてとても大きなストレスになってしまっていました。
治療しようといくつかの病院を回ってみたのですが、処方された薬で一時的に良くはなるものの1-2ヶ月程度で毎回再発。包茎手術をすれば慢性的な包皮炎でも改善できることを知り、3年経過する頃には本格的に包茎手術を考え始めました。
そして、包皮炎発症から約7年目、ついに包茎手術を受ける日が来ました。あんなにしつこかった包皮炎が包茎手術で良くなるのかと半信半疑でしたが、その効果は絶大で、手術してから一度も包皮炎は再発していません。
今まではお風呂に入ったら亀頭周辺をドライヤーで乾かして薬を塗って予防する必要がありましたが、そのような手間のかかることもする必要がなくなったので非常に快適になりました。性行為の面でも、包皮炎が気になって積極的になれなかったので、気にする必要がなくなったのがとても良い感じです。
手術に関しては、最初の麻酔が少し痛む程度でその後は基本的に無痛であり、こんなに簡単に手術を受けられるのであれば、もっと早くから手術を受けておくべきだったと思いました。
若さは戻ってこないですし、20代のうちに治療ができていたら、包皮炎に邪魔されることなく、もっと楽しく毎日を過ごせていたと思います。非常に勿体無いことをしました。慢性的な包皮炎で悩んでいる方は、手術をおすすめします。非常に快適になります。
包茎手術に関しては『こちら』の記事をご覧ください。
亀頭包皮炎は、多くの男性が一度は経験する可能性がある症状です。適切なケアや生活習慣の見直しにより、予防や早期治療が可能です。
包茎の状態が炎症の原因となることが多いため、包茎手術を検討することで、症状の予防や再発を避けることが期待されます。
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